この記事の要約

介護士の仕事は要介護者の生活を支えることですが、排泄や入浴の介助など、プライベートな場面が多いため、「大変」とイメージされがちです。実際大変なこともありますが、その中でやりがいを見いだせる瞬間は沢山あります。例えば、感謝の言葉をかけられたり、他職種と協働して1つの目標を達成できたときなどです。やりがいを感じる瞬間は人それぞれ異なりますので、ご自身でやりがいを感じるポイントを見つけていただければ幸いです。一方で、ある程度の経験を積むとやりがいを見いだせなくなることもあります。その際は、ご自身と向き合う時間を意図的に作ることをおすすめします。

介護の仕事は様々な場面でやりがいを感じることができますが、これから介護業界で働くという方の中には、そのイメージがなかなかつかない方もいるかと思います。そこで本記事では、現役の介護士がどんなところでやりがいを感じるのか、具体的な例をご紹介します。また、すでに介護現場で働いており、やりがいを見いだせなくなった場合の対処法についても解説していますので、併せてご覧ください。

介護士のやりがいとは?

まずは現場で働く介護士が、仕事中のどのような場面でやりがいを感じるかについて解説します。介護職は、高齢者や障がい者の生活を支えるのが主な仕事ですが、食事・入浴・排泄など要介護者のプライベートな部分に踏み込むことが多い仕事です。そのため「大変」というイメージを持たれることも珍しくありません。そんな介護の仕事で、特にやりがいを感じる場面を4つ厳選してご紹介します。

感謝の言葉をかけられたとき

やはり、日々の仕事に対して感謝の言葉をかけられた時に感じるやりがい・喜びは非常に大きなものです。利用者さんご本人から言葉をいただく時もありますし、ご家族から感謝の手紙をいただくこともあります。

利用者のADLが上がったとき

自立支援も介護士の大切な仕事の1つです。生活リハビリなどを通じて、利用者さんができなかったことができるようになる瞬間に出くわすこともあります。そういった瞬間は自分がやってきたことの答え合わせができたような感覚もあり、非常に嬉しい瞬間です。

介護技術が向上していると感じるとき

介護技術の向上は、新人の頃は特に頻繁に感じるでしょう。学校や書籍で学んだことを実際に現場で試してみたり、先輩の介護技術をみたりして、徐々に覚えていきます。それを業務で実践し、できるようになっていくものですので、自分が思っていた通りのことができた時はやりがいや喜びを感じるでしょう。

様々な年代の職員・他職種と協働し成果が出せたとき

介護の仕事は1人では完結しない仕事です。そのため、同じフロアの職員や他職種との連携も非常に重要です。様々な性格・年齢・性別の職員と共にチームとして1つの目標に取り組むことは、とても難しい場面もありますが、成果を出せた時のやりがいや達成感は大きいでしょう。

現役介護士がやりがいを感じる瞬間とは?【体験談をご紹介】

ここからは、介護の仕事にやりがいを感じる瞬間について、経験談を中心にお話しします。

無資格・未経験から介護を始めてやりがいを見出すまでの期間はどのくらい?

未経験から介護職についた場合に、仕事にやりがいを見出すまでの期間について筆者の経験に基づいて解説します。

最初の3ヶ月〜半年ほどは先輩の指導を受けながら、業務を覚えたり、技術を習得したりすることで精一杯でしょう。その段階では、1人でこなせることが日に日に増えていくことに大きなやりがいを見出していました。つまり、介護士の仕事は、1ヶ月目からやりがい満載というわけです。

もちろん、経験年数やポジションによってやりがいを感じる瞬間は異なりますので、経験を積むごとに、新しいやりがいを見つけられるのも介護士の魅力です。

介護職にやりがいを感じる瞬間を解説

続いて、介護業務の中でやりがいを感じる瞬間をより具体的に解説します。これから介護に携わる方はイメージしづらいかもしれませんが、すでに介護現場で働いている方は、共感していただけるポイントがあるかもしれません。

介護経験者の方にお聞きしますが、あなたは普段の業務の中で、ちょっとした工夫で課題が解決できた時にやりがいを感じるときはありませんか?

たとえば、食事介助の方法を工夫したら、食事摂取量が上がったり、声かけの工夫で拒否が減ったり。利用者さんの日々の変化に小さなやりがいを見出せるような職場で働くことが、よりやりがいを感じながら介護士を続けるポイントであるともいえます。

筆者がやりがいを感じた出来事

筆者が最近の出来事で最もやりがいを感じた瞬間は、お看取りをおこなった利用者さんのご家族から感謝の手紙をいただいたことです。

ご家族は、介護施設に預けたことにずっと迷いや罪悪感を抱いていたそうですが、「この施設で最期を迎えられてよかったです。」とのお言葉をいただきました。

介護士も他の多くの職業と同じで、大変なことも多いですが、こうした言葉をいただくと、非常にやりがいを感じて「また頑張ろう」と強く思えます。

介護職がキツイと感じる瞬間

一方で、介護がキツイと感じる瞬間も当然あります。それは、次のような場面に遭遇したときです。

  • 大柄な利用者さんをケアする時
  • 介護拒否が強い利用者さんのケアをする時

など

法人や企業に勤めて介護士をする場合、相手を選ぶことはできませんので、介助に入るのが大変な利用者さんも当然ながら居ます。

とはいえ、ひとりでケアにあたることはありません。同じフロアで働く介護士や他職種に適切に協力を仰げば、問題なく業務を遂行できますので、安心して経験を積んでいってください。

やりがいを感じられなくなった時の対処法

やりがいを感じられなくなった時の対処法について解説します。

介護士の仕事には、やりがいを感じる場面は多くありますが、精神的なストレスを抱えやすい側面もあり、やりがいを感じられなくなることは珍しくありません。

実は筆者も、一度介護を離れた経験があります。介護を離れ、自分の状況を客観的に見れたことで進みたい方向性が明確になり、再度介護業界に戻る決断をしました。日々の業務が多すぎて余裕が無くなったり、人間関係でストレスを抱えたりして、やりがいを感じられなくなることが多いかと思いますが、そんな時は、自分の気持ちと向き合う時間を意図的に作ることをおすすめします。そして、なぜやりがいを感じなくなったのかを把握することが大切です。また、過去どんなことにやりがいを感じていたかを振り返ることも有効でしょう。

幸いなことに、介護士の求人はかなりの売り手市場です。求人はたくさんありますので、万が一退職してもまた戻ることも容易でしょう。意味もなく転職を繰り返すのはおすすめできませんが、辛くなったら一旦立ち止まることを検討してみてもいいかもしれません。

介護の仕事におけるやりがいの見つけ方

最後に介護の仕事におけるやりがいの見つけ方について、少しアドバイスを記載しておきます。よろしければ是非ご参照ください。

介護は、日々多くの要介護者と接し、楽しいことも大変なことも沢山あります。そんな中で、やりがいを見出すために筆者が心がけていることは、自分の技術に誇りを持って、業務にあたることです。

ケアに入るのが大変な利用者さんとスムーズにコミュニケーションが取れたり、他職種と滞りなく連携するために調整したり、そういった場面で自分の今までの経験や持っている技術に対して誇りを持ちます。逆にうまくいかなかったことに関しては、次に同じミスをしないよう、プロとしてどうするべきかを考えるきっかけにもなります。

やりがいの見つけ方も、やりがいを感じるポイントも人それぞれ違いますので、1つの例として参考にしていただきながら、あなた自身のやりがいを探してみてください。

まとめ

介護士のやりがいについて解説しました。これから介護の仕事に就く予定、もしくは、介護の仕事を始めたばかりの方は、是非これから多くのやりがいに気付いていただき、介護士という仕事の魅力をご自身で見つけていただければ幸いです。

また、すでに介護士として仕事をしており、介護のやりがいについて認識を確かめたいと感じている方は、ご自身と向き合う時間を作り、本記事を今後のキャリアにご活用いただければ幸いです。

ABOUT ME
椿 るい/現役介護福祉士ライター
介護業務に従事して9年目の介護福祉士。 介護現場でのリアルを伝えるため、Webライターとしても活動中。 特養や精神科での勤務経験を活かし、事実に基づいた「生の声」をお伝えします。また、ユニットリーダーなどの役職の経験や常勤・派遣・夜勤専従派遣といった複数の働き方の経験もあるため、介護士としての働き方や給与の問題は特に経験と知識が豊富です。